なぜ前屈みになるのか?

胃部X線検査で検査中に撮影台の上で「前屈みになってください」と言われた経験がある方はいらっしゃるだろうか?


実は私も検査中に受診者に対して「自分のおへそを見るような感じで前屈みになってください」とよく声を掛けることがある。


ではなぜ、検査中にこのような声掛けをするのかをご存知の方はいるだろうか?


それは胃の描出範囲を広げるためである。


実は私たちが「前屈みになってください」と検査中にお願いするのは胃の形が横胃の受診者に対してである。


横胃の人はたいてい穹窿部が背中の方に倒れていることが多いため、背臥位で撮影しても描出することができないことがある。そのため、身体を起こして(穹窿部を起こして)もらって描出範囲を広げるのだ。


ある医師から私が住んでいる九州は横胃の方が多いと聞いたことがある。関東の方では鉤状胃の方が多いのだとか。私は関東で胃の検査をしたことがないので真偽の程は確かめようがないが、どうやらそういう傾向があるらしい。


検査をしているとわかるが胃の形は人によって本当にさまざまである。そして横胃などの胃の形が鉤状胃以外の人は撮影中にブラインドが多くなってしまうため、撮影の難易度も当然高くなる。


以前にもお伝えしたように私たち技師は受診者の方の協力なしには良い検査をすることができない。受診者のみなさん、技師から体位変換をお願いされた時は快くご協力ください。