一番嬉しいのは……

私は一応放射線技師のはしくれなので毎日仕事で何らかの検査に従事している。

胸部X線、胃部X線、腹部超音波など、健診施設なので臨床施設と比較するとモダリティの数は極端に少ないが、技師1人あたりの検査数は割と多い方だと思う。

そして日々検査をしていると多くの所見に出会う。

中でも腹部超音波では肝臓、胆道、膵臓脾臓、腎臓、腹部大動脈と検査対象の臓器が多岐に渡るため、その分だけ当然だが、検査中に見つかる所見の種類や数も多い。

私の場合、標準体型で所見が何もない人であれば検査は5〜7分程度で終わる。だか、所見がある人はルーティンの画像に加えて所見の画像も残さなければならないのでその分時間がかかる。

したがって所見が多い人はその分だけ検査に時間がかかるし、さらに肥満体型や体内のガスで臓器が描出しにくい人は体位変換を行うため、さらに時間がかかってしまう。

当然検査に時間がかかれば受診者の機嫌は悪くなる。時間がかかればかかるほど検査室は重苦しい雰囲気になっていく。

だが、受診者が検査する技師を選べないように、技師も受診者を選ぶことができない。どんな受診者に巡り合うかは時の運なのである。

所見を見つけたら嬉しくないですか?

うわっー見つけたって興奮しませんか?

と言っている同僚がいたが、私に関しては検査中に所見を見つけても嬉しくなったり、興奮したりすることはまずない。

所見が何もない「異常なし」が一番嬉しい。