「ありがとう」と言われる仕事

私が従事している診療放射線技師の仕事というのは「ありがとう」と言われることが多い仕事である。「ありがとう」「ありがとうございました」と検査が終わった後、受診者から声を掛けられることが多い。


こちらは指示された業務を指示通りに行っているだけなのに、受診者から感謝の気持ちを伝えられる。これは診療放射線技師に限らず、医療従事者という仕事ならではの役得なのだと思う。


もちろん、いつも感謝の気持ちを伝えられることばかりではない。胸部X線を撮影する時にネックレスを外して下さいとお願いしたらあからさまに嫌な顔をされたり、胃部X線の検査中に追加で発泡剤を飲むようにお願いしたら、まるでこちらが何か悪いことをしているのかと錯覚してしまうかのような苦しい表情をされたりすることもある。


しかし、そういう受診者の方はほんの一部で大部分の方は検査が終わった後に「ありがとう」と感謝の気持ちを伝えられる。声を掛けられたこちらも「ありがとう」と言われただけで気分が良くなるから不思議なものだ。「ありがとう」は魔法の言葉である。


どんな仕事も世の中には必要で仕事に優劣をつけるつもりなど決してないのだが、やはり自分の子どもにも「ありがとう」と言われる仕事に就いてもらいたい。仕事をしながらふとそんなことを考えた。